リスニング問題はどうやって練習したらいいの?

聞く力をきたえるリスニングの練習・・・。私も授業の中でどうやって練習したらいいのか悩んでいた時期がありました。「聞く」力というのは、「話す、書く」といったアウトプットのものと比べて、目に見えるものではないので、学習者が本当に理解しているのかわかりにくく、授業の進行が難しいと感じていました。しかし目に見えなくても、リスニングの練習のしかたによって、学習者が理解しているかどうか、どこが聞き取れていないのか、教師が感じ取ることができます。ただ、CDを聞いて教師が答えを解説するだけではなく、そこにいくつかの練習をプラスすることで、リスニング問題がより実のあるものになります。
この記事では授業で使えるリスニングの練習のし方をいくつか紹介します。

①スクリプトの穴埋め問題を作成する

これはリスニングが苦手な学習者に対して、有効な練習といえます。リスニングが苦手な学習者はどこが聞き取れていないのかわからなかったり、聞き取れている部分自体が少ない場合、会話の全体像がつかみにくく、リスニング練習を嫌いになってしまうことがあります。そのため、スクリプトを先に提示し会話を可視化することで、リスニングが苦手な学習者もリスニング問題に取り組みやすくなります。さらにスクリプトを穴埋め問題にすることで、学習者の負担を減らすこともできます。私はその課で学んだ文法表現が使われている文を穴埋めにしていました。
この練習方法は、学生にも「これからもこの穴埋め問題でリスニング練習がしたい」と言われるほど、好評でした!

参考までに、穴埋め問題とは以下のようなものです。写真にあるのは「みんなの日本語」第15課「問題」のリスニングの部分です。どこを穴埋めにするのか、どのくらいの量を穴埋めにするのかはクラスのレベルに合わせて変えてもよいと思います。

台湾版のみんなの日本語を使っていたので、中国語訳がついています。

②スクリプトも何もみずに、先生がゆっくり細かく分けて言い、学習者が先生が言ったことをそのまま繰り返す。

これは①よりも少し難易度があがります。まずCDで会話全体を聞きます。リスニングが得意な学生だと会話のだいたいの全体像がつかめます。しかし聞き漏らしている部分もあるため、教師がゆっくり繰り返し、学習者に真似してもらいます。CDのように速いスピードで読むのではなく、ゆっくりと、細かく分けて読みます。そして、ポイントは学習者に聞いたままを真似してもらうという点です。ちゃんと聞き取れていると正確に真似することができるのですが、意味がわかっていないと、先生が言った通りに繰り返すというのが難しいんです。教師はうまく繰り返すことができていないところに注目し、学習者が聞き取れていない部分にフォーカスして、意味を確認したり、板書して何を言っていたかを説明することができます。
しかし、この練習は学習者の負担が大きく、かなり疲れるので、難しいリスニングの問題ではしない方がいいかもしれません。学習者のレベルから考えて簡単なレベルのリスニング問題のときにこの練習をすることで、達成感が得られると思います。ただ聞く受け身の練習ではなく、聞いたものを自分から発声する練習は学習者にとって良い刺激になるはずです。

③スクリプトを見ながらCDといっしょに同じ速さで読んでみる。

この練習も②と同じくらい難しいかもしれません。日本人と同じように話したいと思っている学習者には良い練習だと思います。
しかし最初からCDと同じ速さで読むのは学習者にとってハードルが高いので、同じ速さで読む前に、話している人がどこで区切っているのか、つながって発音している部分などを教師が先に提示しておくと、学習者もついてきやすいでしょう。リスニングと同時に、話す練習にもなります。

★オススメのリスニング教材

上級者が対象になりますが、日常会話の話し方のリスニングを鍛えたい場合は、「聞いて覚える話し方 日本語生中継 中~上級編」この教科書がオススメです!発音のしやすさから縮まった言い方、省略された言い方(「もう行かないと。」「~かもしんない。」「わかんない。」等)が学べます!リスニングの参考書はゆっくり話されているものも多いのですが、この教科書は話すスピードもネイティブの会話のときのように速く、問題の数も多いため、上級者で、日常的なリスニング練習をしたい場合、とても役に立つはずです。

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